朝鮮総督府官報 第62号 1910(明治43)年11月11日
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明治43(1910)年11月11日 第62号朝鮮総督府臨時土地調査局訓令第六号
各 課
出張所
土地調査に関する地方経済及慣習調査規程左の通定む
明治四十三年十一月五日
朝鮮総督府臨時土地調査局総裁 山縣伊三郎
地方経済及慣習調査規程
第一条 地方経済及慣習は本規程に依り調査すへし
第二条 地方経済に関し調査すへき事項左の如し
一 土地
二 人口
三 産業
四 耕作の方法及難易
五 労銀
六 籾摺歩合
七 収穫物価格
八 土地売買価格及利廻
九 各面の品等
十 土地典当貸金及利廻
十一 典当以外の貸金の利廻
第三条 地方慣習に関し調査すへき事項左の如し
一 土地売買に関する慣習
二 土地譲与に関する慣習
三 土地相続に関する慣習
四 土地典等に関する慣習
五 林野に関する慣習
六 地主と小作人との関係
七 墳墓地
八 共同井
九 度量衡器
十 貨幣
十一 土地の面積
第四条 前二条の調査は面長、洞長、地主総代、小作人、知事人其の他土地の事情に精通する者及実例に就き成るへく事実を得ることなる事項に対しては濫に推測を用ふるか如きことなきを要す
第五条 籾摺歩合は一部の平均を得るに適当なりと認むる上中下の三箇所を撰定し其の歩合を調査すへし但し籾より直に白米に仕上くる地方に在りては玄米留り歩合の調査を要せす
第六条 収穫物価格の調査は左の各号に依るへし
一 郡中に於ける農産物の集散地にして地方の相場を調査するに適当なりと認むる箇所一箇所若は数箇所を撰定すること
二 第四条に掲けたるものの外に該農産物の売買取引を為す会社、商人又は其の所持する帳簿に依ること
三 既往三箇年に於ける収穫時期後四箇月間の中等品卸売相場の平均に依ること
四 書式中に掲けたる種類の外主要なる農産物あるときは尚其の種類に就き之を調査すること
第七条 土地売買価格及利廻、土地典等貸金及利廻並典当以外貸金の利廻は成るへく事実に就き既往三箇年間の平均を以て調査すへし
第八条 土地売買価格及利廻中小作料の利廻は地税及種籾を算入して小作料を計算するを慣行とする地方と之を算入せすして計算するを慣行とせる地方とに区別し調査すへし
第九条 各面の品等は第二条第一号乃至第八号に依る調査の事蹟其の他各種の経済事情を参酌して之を定むへし
第十条 度量衡器中度器は土地丈量に用ふる現品の存在する場合に限り之を調査し量器及衡器は其の一定せるものに就き度量衡法の量器及衡器に比較して調査すへし其の所持者の異なるに因り容量又は重量の一定せさるものある場合に於ては其の事由を記し大約の比較に止むることを得
第十一条 第六条第三号及第七条の調査を為すに当り特殊の事情に因り著しき高低ありたるものは之を除外して其の平均を求め備考に其の事由を記載すへし
第十二条 書式に定めたる事項の外地方経済及慣習調査上参考と為るへきものあるときは適宜之を調査すへし
第十三条 調査事項にして面に依り著しく其の状態を異にするものあるときは特に之を区別して記述すへし
第十四条 一郡の調査を終りたるときは左の書式に依り調書を調製し結了後十日以内に之を提出すへし但し一郡の調査を二人以上にて担当したるときは其の担当区域毎に之を調製することを要す
明治何年何月何日 副監査員書記 何某 印 | ||||
何郡地方経済調書 | ||||
一 土地 | ||||
面別/区分 | 何面何面 | 何面何面 | 何面何面 | 何面 |
地勢 | 海に瀕して平坦なり | 山岳の間に介在す | 丘陵起伏の間に在り | 東部は山間、西部は何河に沿ふ |
交通 | 何市街を距る五里乃至八里の山路にして交通甚た不便なり然れとも海路に依るときは約何里して何港に至る | 何港を距ること二里乃至五里にして車道の便あり | 何市街を距ること五六里にして交通便なり然れとも大雨に際しては何河の水氾濫して一時交通杜絶することあり | 市街を距ること約何里にして船楫の便あり然れとも冬期結氷の際は其の便を欠く |
地質 | 磽瘠 | 壌土にして肥沃 | 粘土にして稍肥沃 | 砂質壌土にして瘠薄 |
水利 | 無し | 渓泉に依りて灌漑に概して不便ならす | 灌漑は泉水と溝渠とに依ると雖概して充分ならす | 渓泉に依りて充分なり |
災害の有無 | 多少の風害あり | 四五年間に約一回多少の虫害あり | 毎年多少の旱害あり殊に何面の東部は旱害の為何面の西部は水害の為三年に一回位は収穫半減するを普通とす | 東部は年年多少の水害ありて四五年間に一回位は地脚崩壊して多額の復旧費を要す |
二 人口 | |||
面別 | 人口の概数 | 人口に対する耕地の過不足 | 土地需用の関係 |
何面 何面 |
五〇〇 一、二〇〇 |
不足 | 近年土地を重視するの傾向を生し各地に小規模の開墾を企つる者多し |
何面 何面 何面 |
三二〇 五五〇 二五〇 |
過 | 粗漫なる耕作を為し小面積の土地には殆と犂鍬を施ささるの風あり耕地の約九歩は田なるを以て米は何地方より移入す |
何面 何面 |
四〇〇 三二〇 |
― | 丘陵起伏の間には尚田と為し得へき土地多多ありと雖労力不足の為之を顧る者なく叢生せる茅茨を刈りて僅に燃料に充つるのみ |
何面 | 六〇〇 三二〇 |
― | 米麦は何地方より移入せされは食糧に不足なるを以て従来頻りに開墾を為すと雖山部は概ね岩石にして最早殆んと耕地を得るの余地なし |
三 産業 | |
面別 | 産業の状況 |
何面 何面 何面 |
半農半漁にして農産物の主なるものは麦及大豆とす |
何面 | 郡衙及何何の所在地にして小市街を為し自ら商業地たり |
何面 | 何会社の煉化工場あり又粗造の陶器製造者多く半農半工の地たり |
其の他の各面 | 概ね農業地にして主たる農産物は麦及大豆とす |
四 耕作の方法及難易 | ||||
面別 | 粗密の概況 | 難易の概況 | 一毛作、二毛作の別 | 肥料 |
何面 | 一毛作 | 概して施すことなし | ||
何面 | 一毛作 | 大果樹を栽培するの風あり之には何種の肥料を用ゆ | ||
何面 | 一毛作 | 充分 | ||
何面 | 二毛作 | 不十分 | ||
何面 | 一毛作 | 充分 |
五 労銀 | |||
面別 | 耕作(一日) | 運搬(一里) | 雑役(一日) |
何面何面何面何面 | 二十銭乃至二十五銭 | 十銭乃至十三銭 | 十五銭乃至二十銭 |
何面何面 | 三十銭乃至三十八銭 | 十五銭乃至二十銭 | 二十五銭乃至三十銭 |
何面何面 | 二十銭乃至二十五銭 | 十二銭乃至十六銭 | 十五銭乃至二十銭 |
六 籾摺歩合 | |||
区分/調査地名 | 上何地 | 中何地 | 下何地 |
玄米留歩合 | 何分何厘 | 何部何厘 | 何部何厘 |
白米留歩合 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
七 収穫物価格 | ||||
品名/調査地名 | 何地 | 何地 | 何地 | 何地 |
籾 | 何円何十銭 | 何円何十銭 | 何円何十銭 | 何円何十銭 |
玄米 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
白米 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
大麦 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
小麦 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
大豆 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
小豆 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
ヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
八 土地売買価格及利廻 | |||
区分/面名 | |||
百坪当価格 | 田 | 上 | 何円何十銭乃至何円何十銭 |
中 | ヽヽヽ | ||
下 | ヽヽヽ | ||
上 | ヽヽヽ | ||
中 | ヽヽヽ | ||
下 | ヽヽヽ | ||
垈 | 上 | ヽヽヽ | |
中 | ヽヽヽ | ||
下 | ヽヽヽ | ||
価格を算定する普通の標準 | 一日耕又は一斗落を幾円とす(又は小作籾一斗を幾円とす) |
価格十円に対する小作料の利廻 | 田 | 地税を算入するとき | 上 | 大豆は何々何斗何合乃至何升何合(価格何円何十銭又は何銭何厘乃至何銭何厘) |
中 | ヽヽ | |||
下 | ヽヽヽ | |||
地税を算入せさるとき | 上 | ヽヽヽ | ||
中 | ヽヽヽ | |||
下 | ヽヽヽ | |||
地税及種籾料を算入するとき | 上 | ヽヽヽ | ||
中 | ヽヽ | |||
下 | ヽヽヽ | |||
地税及種籾料を算入せさるとき | 上 | ヽヽヽ | ||
中 | ヽヽヽ | |||
下 | ヽヽヽ | |||
地税を控除する普通の標準 | 田 | 上田は何銭下田は何銭(又は上田は大豆何升或は小作料の何割) | ||
上は何銭下は何銭(又は上は籾何升或は小作料の何割) |
九 各面の品等 | |
一 等面 | 何面 何面 何面 |
二 等面 | ヽヽ ヽヽ ヽヽ |
三 等面 | ヽヽ ヽヽ ヽヽ |
四 等面 | ヽヽ ヽヽ ヽヽ |
五 等面 | ヽヽ ヽヽ ヽヽ |
十 土地典当貸金及利廻 | ||
区分/面名 | ||
売買価格に対する典当貸金の歩合 | 何分乃至何分 | |
典当貸金一円に対する利廻 | 田 | 何銭(又は大豆何升) |
何銭(又は籾何升) |
十一 典当以外貸金の利廻 | |
区分/面名 | |
有担保 | 何分乃至何分 |
無担保 | 何分乃至何分 |
明治何年何月何日 副監査員書記 何某 印 | |
何郡慣習調書 | |
一 土地売買に関する慣習 | |
保証人要否の区別 | |
文記を作成せさる場合の有無、之ありとせは其の場合 | |
地税を売主に於て負担する慣習の有無、之ありとせは其の場合、価格及期限 |
二 土地譲与に関する慣習 | |
譲与の原因 | |
保証人要否の区別 | |
文記作成の有無、若之なしとせは其の場合 |
三 土地相続に関する慣習 | |||
長子相続なりや又は数子に分割するや | |||
女子相続権の有無及分割に加はるや否や | |||
庶子相続権の有無及分割に加はるや否や | |||
婿養子相続権の有無及分割に加はるや否や | 生子ある場合 | ||
生子なき場合 | |||
亡夫の妻相続権の有無 | 生子ある場合 | ||
生子なき場合 | |||
分割の時期 | 被相続人生前 | ||
被相続人死後 | |||
分割額を定むる方法及其の割合 | |||
相続者なき遺産処分の方法 | |||
文記 | 作成の有無 | ||
保証人は必要条件なりや否や | |||
親族連署は必要条件なりや否や | |||
相続人は連署するや否や | 被相続人生前 | ||
被相続人死後 | |||
分割相続の場合は数通を作成して各自之を保存するや否や | |||
相続人及分割を受けたる者は被相続人若くは分割人に対して如何なる義務を負担するや |
四 土地典当に関する慣習 | ||
期限及其の効力 | ||
承典者 | 土地占有の有無 | |
納税義務の有無 | ||
小作に付し又は小作人を交替せしむることを得るや否や | ||
地目及地形を変更することを得るや否や | ||
転典することを得るや否や | ||
出典者 | 贖典するとき承典者の投したる土地改良費は如何にするや | |
贖典を為したるとき贖典の手続 |
五 林野に関する慣習 | ||
占有に因り林野の所有権を取得する慣例の有無、之ありとすれは占有の慣例及其の年数 | ||
墓地の撰定に因り林野の所有権を取得する慣例の有無、之ありとすれは地域の範囲 | ||
国有林野 | 下草を採取する慣例の有無、之ありとすれは其の慣例 | |
下草は林野に沿ひたる一定の洞民に限り採取するや否や | ||
下草は他洞民も採取することを得るや否や | ||
林野の所有権を証する証拠 | ||
林野の売買を文記を作成せさる場合の有無、之ありとすれは其の慣例 | ||
入会権 | 入会権に類する慣例の有無、之ありとすれは其の権利を証する方法 | |
洞民たれは総て権利を取得するや否や | ||
一定の洞民に限り権利を取得するや否や | ||
権利を取得したる洞民か洞内に居住せさるに至れは当然其の権利を喪失するや否や |
六 地主と小作人との関係 | ||
小作期間 | ||
保証金に関する慣例 | ||
契約の時期 | ||
解約の時期 | ||
種子代肥料代等地主に於て貸与又は負担する慣例 | ||
小作料取立方法 | 農産物を以てする場合 | |
金銭を以てする場合 | ||
小作料取立時期 | 農産物を以てする場合 | |
金銭を以てする場合 | ||
小作料を延滞したるとき地主は如何なる処置を為すや | ||
文記作成の有無 |
七 墳墓地 | |
他人の土地を借入たるとき借地料契約の有無 | |
借地料の支払を為ささるとき地主は墳墓の取除を要求することを得るや否や | |
前項要求することを得さるとき又は要求に応せさるとき地主は如何に処置するや |
八 共同井 | |
他人の土地に開墾するとき其の敷地及所要通路敷地の買収、又は使用に関する慣例 | |
前項無料使用なるとき地税其の他負担に関する慣例 | |
汲水に関する慣例 |
九 度量衡器 | ||
区分/面名 | ||
度量 | 名称命位 | |
現行一尺に対する比較 | ||
量器 | 名称命位 | 石斗(一石の二十分の一)升(一斗の十分の一)合(ヽヽヽ) |
現行一斗に対する比較 | 何斗何升何合 | |
衡器 | 名称命位 | |
現行百斤に対する比較 |
十 貨幣 | |
名称命位 | 両銭(一両の十分の一)分(一銭の十分の一)厘(ヽヽヽ) |
金拾銭に対する比較 | 何両何銭 |
十一 土地の面積 | ||||
区分/面名 | 何面何面 | 何面 | 何面何面 | |
斗落 | 名称命位 | 石落斗落(一石落の二十分の一)何々(ヽヽヽ) | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
一斗落の坪数 | 約何百坪 | ヽヽヽ | ヽヽヽ | |
日耕 | 名称命位 | 日耕息耕(一日耕の四分の一)何何(ヽヽヽ) | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
一日耕の坪数 | 約何百坪 | ヽヽヽ | ヽヽヽ |
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